3【消費税増税(2019年)】住宅ローン減税の検討状況
この記事では2019年の消費税増税時の景気対策である「住宅ローン減税」、「住まいの給付金」の状況をお届けしています。
住宅ローン減税とは住宅購入時に利用する住宅ローンの金額に応じて所得税および住民税が控除される制度です。現在は住宅を購入する時に利用した住宅ローンの年末時点での残高の1%が10年間控除される制度になっています。
控除額計算時の住宅ローンの残高の上限額は4,000万円なので、10年後の年末の住宅ローン残高が4,000以上あれば最大で400万円の控除を受けられる制度になっています。
現行の制度でも4000万円の住宅ローンを組んで普通に通りに返済を続けた場合10年間の合計で300万円以上のメリット(減税効果)があるわけですが、消費税増税以降に購入された住宅については追加のメリットが受けられることになりました。
住宅ローン減税効果を事例でシミュレーション
具体的な減税効果を確認しておきましょう。例えば、土地が2,000万円、建物が2,000万円、計4,000万円の家を4,000万円の住宅ローンを組んで毎年住宅ローンの元本が100万円ずつ減っていった場合でシミュレーションしてみたいと思います。(控除額は所得が少ないと満額控除になりませんがここでは考慮していません)
住宅ローン残高 | 住宅ローン減税控除額 | 新制度による上限 | |
1年目 | 4,000万円 | 40万円 | |
2年目 | 3,900万円 | 39万円 | |
3年目 | 3,800万円 | 38万円 | |
4年目 | 3,700万円 | 37万円 | |
5年目 | 3,600万円 | 36万円 | |
6年目 | 3,500万円 | 35万円 | |
7年目 | 3,400万円 | 34万円 | |
8年目 | 3,300万円 | 33万円 | |
9年目 | 3,200万円 | 32万円 | |
10年目 | 3,100万円 | 31万円 | |
11年目 | 3,000万円 | 約13.3万円 | |
12年目 | 2,900万円 | 約13.3万円 | |
13年目 | 2,800万円 | 約13.3万円 |
このケースでは11年目以降の新制度による上限金額は、建物価格(2,000万円)×2%÷3=で約13.3万円となります。
この条件では、13年間の合計の減税額は13年間累計で394万円。13年に単純に減税期間を延長するより48万円少なくなりますが、11年目以降の減税額は40万円なので、これが今回の住宅ローン減税の効果と考えることができます。
建物の価格、住宅ローン残高の推移には色々なパターンがありますが、基本的には「建物の価格の2%」が10年目~13年目の合計の控除額の上限になると思います。
「建物の価格の2%」の「2%」は増税される消費税の料率と一致していますので、建物部分の増税消費税分があとで戻ってくる(控除される)という仕組みが導入されたわけです。
なお、減税額が膨れ上がってバラマキになるのを避けるために、「消費税が最初からかからない土地」を除外しつつ、「都心と田舎では土地の値段に違いがありすぎるので土地を入れると都市部の優遇し過ぎるわけにはいかない」、「建物にかけるお金を増やして欲しい(住宅メーカーやその下請け事業者の工事量を増やして経済効果を高めたい)」、「そもそも土地の購入資金には消費税はかからないので考慮する必要がない」という思惑もありそうです。
住まいの給付金の検討状況
住宅ローン減税は納税額を減らす制度なので、収入が少なく所得税など最初から納税額が少ない人はメリットを最大限受けることができません。そのため、住宅ローン減税のメリットを十分に受けられない人たちに対して、より公平性を保つために導入されているのがすまい給付金という制度です。
現在は、年収510万円以下などの要件を満たす人が住宅を購入する時に現金が受け取れる制度です。現在は年収510万円以下で受け取れる金額の上限は30万円となっていますが、消費税が10%になった後は、年収775万円以下での人を対象に最大で50万円が受け取れるようになります。
すまい給付金については、政府が今言い出したわけではなく国土交通省でもずいぶん前から検討されていて増税後の受取金額のシミュレーションも行うことができますので気になる人は以下の「すまい給付金事務局(国土交通省監督)」が運営するホームページでシミュレーションしてみてください。
<パソコン用>
http://sumai-kyufu.jp/simulation/kantan/index.html
<スマートフォン用>
http://sumai-kyufu.jp/sp/simulation/kantan/index.html